中野晴啓が語る!いまさら聞けない世界経済

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zoom RSS 中国からインド・東南アジアへ

<<   作成日時 : 2012/07/24 10:14   >>

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欧州債務危機によって財政再建に取り組む南欧諸国では、本格的な景気後退を余儀なくされています。いま世界景気における最大の懸念事項は、そうした欧州経済の減速懸念が世界全体に波及していくことで、かつて日本の高度成長時代には米国がくしゃみをすると日本は風邪をひく、と揶揄されていたと同様の連鎖が、21世紀グローバリゼーション構造では世界経済全体にまで及ぶことになるわけです。

とりわけ欧州経済に真っ先に影響を受けると懸念されるのが中国です。それは中国にとって欧州は最大の貿易相手であり、輸出産業主導で高度成長軌道を築いてきた中国経済は、欧州向けの輸出鈍化が国内生産活動の停滞に直結する深いつながりなのです。今月発表された中国の4〜6月期実質GDP(国内総生産)成長率は7.6%と、リーマンショック時以来の8%割れに低下しています。

21世紀グローバリゼーションにおける地球経済成長の主役として、中国は新興大国の中でも飛びぬけて高い成長を続けて来ました。その構造はかつて前世紀に日本が米国経済への製品供給基地として、工業製品の集中豪雨的な輸出を積み上げることで実現して来たモデルと同様、日米欧先進国産業の工場として毎年生産能力を拡大させ、輸出貿易によって昨年日本を抜いて世界第2位の経済大国にのし上がって来たのでした。

ところがグローバリゼーションが始まってから既に20年以上、10%成長を実現させて来た中国経済はかなりメタボ体質になってしまっています。成長エンジンだった世界の工場たる生産設備は既に世界の需要を遥かに上回る能力過剰に陥っており、一人っ子政策の歪みが若年労働力不足を招いて、景気は減速する中でも内陸部からの出稼ぎ労働者の賃金は二桁超の上昇が続いています。それは低人件費という最大の競争力の源泉だった強味の喪失であり、先進国企業は製造拠点を中国からインド・東南アジアへとシフトし始めています。

中国政府は共産党の一党独裁体制であり、強烈な腐敗体質と都市と農村の階級格差が国民の所得・生活水準格差につながっていて、景気後退が国民暴動に繫がりかねない、底知れぬ政治的リスクも孕んでいます。

中国経済は、はっきりと転換期に入ったと言えるでしょう。日本の80年代のステージ、つまり成長減速を金融緩和と公共事業で下支えしている状態です。ちょうど1年前に大惨事を起こした中国高速鉄道ですが、はや何事もなかったかの如く新線建設ラッシュが続いています。輸出主導型から内需成長経済へと構造転換の過程にあるわけですが、健全な内需経済の育成には、非効率な国有企業の整理や腐敗体質の脱却などの抜本的構造改革が不可欠です。

それでも中国の潜在成長力は大したものです。鈍化したとは言っても、これからの巡航速度は6〜7%程度を維持するでしょう。経済成長の主役は内陸部へ、農村の人たちへとまだまだ13億人超の莫大な民の経済活動は裾野が馬鹿デカイのです。

中国経済の減速を決して悲観すべきではありません。その代替としてインドへ、東南アジアへ、そしてやがてアフリカへと地球経済の成長の源泉は新たに生まれて来る事でしょう。それがグローバリゼーションです。新興国経済は中国一辺倒から更に多極的成長のステージに入ったのだと、地球一体のスケールと長い時間軸でグローバリゼーションの成長軌道を捉えていくことが、長期投資家に今こそ求められるセンスです。

世界経済は厳しい!とメディアは悲観一色で不安を煽りますが、先日IMF(国際通貨基金)が下方修正した今年の世界経済成長率予測は3.5%と、けっこうしっかり安定しています。

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中野 晴啓
セゾン投信株式会社
ブログ「社長日記
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