ECB(欧州中央銀行)の大きな宣言

ユーロ危機は、9月6日のECB(欧州中央銀行)で南欧諸国の国債を直接買い入れることを決定したことで、市場の悲観シナリオは覆りました。今回の決定のすごいところは、その金額について無制限に行うと宣言したことにあります。

ギリシャの財政危機に端を発した欧州危機は、統一ユーロという挑戦的な制度の抜本的矛盾を顕わにして、その構造欠陥がついにイタリア・スペインという、欧州第3・第4の経済大国の債務問題にまで波及したわけです。

春以降、増幅し続けた市場の悲観進展は、まさに共通通貨ユーロの崩壊を前提とした当該諸国からの資金逃避であり、その動きは明らかに冷静なる客観性を失った、投機マネーの恐怖を煽るシナリオに則った過剰反応ではありました。
されどそうした煽動が根拠とした欠陥は、米国や日本のように財政赤字がどれだけ膨らもうと、それを埋め合わせる中央銀行(日本であれば日銀)が発券機能を持ち、金融政策を有していることによる信認が、ユーロ諸国には存在しないことにありました。今回の決定は、その構造欠陥を埋める役割として統一ユーロの中央銀行たるECBが無制限に担いますよ!と世間に示したことを意味します。

実は統一ユーロ全体で見れば、トータルの財政赤字の比率は日米よりずっと少なく、それはユーロ圏最大の経済を有するドイツの資金力によって、充分まかなえる程度であること。そして統一ユーロを崩壊させることは、そのリーダーたるドイツ経済の信用をも壊滅的に損なうであろうことも自明の理ですから、ドイツはユーロを守るために負担を強いられることが即ち国益を守ることが事実でありましょう。

そうした現実的観点に鑑みれば、ギリシャはいずれ切り捨て可能な経済規模ですが、イタリア・スペインは「Too Big To Fail」、つまり大き過ぎて潰せない存在なのです。
無論今回の措置も弥縫(びぼう)であって、ユーロ構造の根本的構造問題は是正されたわけではありません。政治的連帯を強化しながら、統一欧州連邦という政経一体型連邦国家を目指した努力が続けられるのだと思います。
金融市場においては、今回の決定は世界のマネーの流れを変える大きな転換点です。さらに9月13日に、米FRB(連邦準備制度理事会)がQE3の実施を決めました。これも毎月400億ドル規模で資産買い取りをする、そして無期限に、という強い意志が込められています。

欧州も米国も、金融市場を安定化させ景気を成長軌道に乗せるまで、とことん行動を続けるぞ!という強烈なメッセージが含まれていると考えるべきでしょう。何だかんだと言っても、ハードカレンシーを持つ中央銀行には無尽蔵に資金供給するチカラがあります。欧州・米国と、時を同じくして発表された大金融緩和の決定は、世界全体のお金の流れを大転換させるに足る、大きな意思表示であり、リスクオン相場の始まりを予感させます。
さて、世界二大通貨が示した潮流に、日本の中央銀行たる日銀がどう対応するのでしょうか。9月19日に日銀から発表された10兆円の量的緩和だけでは、まだまだ追随するレベルとしては明らかな劣勢です。日本経済にとっても、デフレ脱却・円高是正という喫緊の課題に向けた、大変重要な分水嶺に入ったと言えるでしょう!

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