LIBOR(=ライボー)不正操作事件について

ロンドンではオリンピックが盛り上がり、世界中の目がこの平和の祭典に釘付けになっていますが、金融市場でも今ロンドンに騒然となっています。それはロンドン銀行間取引金利(LIBOR)不正操作事件です。

 これは有り体に言えば、LIBORという銀行同士がやりとりする基準金利を銀行が都合よく誤魔化して、ちょっとずつピンハネを続けていたことが発覚した、という事件です。発覚もとは英国を代表する老舗大手銀行バークレイズです。

 新聞での報道も日毎に大きくなってきており、これはバークレイズだけでなく他の複数大手銀行が連座しての搾取であることが明らかになってきて、銀行業界ぐるみの不正として金融界そのものの信頼失墜につながる大騒動になってしまっているわけです。
 ところでLIBOR(ライボー)と言われても、大多数の人にとっては聞き慣れない言葉でしょう。これはロンドンに拠点を置く日米欧大手銀行18行が提示する1年以内の銀行間での資金融通に使われる基準金利のことです。
 ふーん、ロンドン市場での業界内の取引レートのことね、と簡単に言ってしまえばその通りなのですが、実はロンドンの金利ではありながら、世界中の金融取引のベースとして使われているのがこのLIBOR。金融業界にあっては知らぬ者はありません。ですから今回の不正事件はロンドンだけにとどまらず、世界中の金融市場に関わる大スケールな事件なのです。

 世界の金融市場は、経済のグローバル化の中心的役割を果たすものとして、その取引規模を劇的に拡大させてきました。グローバリゼーションの進展と共にマネーは地球規模で動き回るようになり、その際に適用される基準金利としてロンドン市場が毎日提示するLIBORが、慣習的に世界中のあらゆる金融取引で使用されるようになったのです。

 とりわけ1980年代後半からすさまじい勢いで膨張して行ったスワップ・オプションといったデリバティブ取引も、すべからくLIBORを基準金利としてやりとりされるようになり、最早LIBORの取引規模は正確に把握することが困難です。それはデリバティブ取引の規模は、BIS(国際決済銀行)によると昨年末で647兆ドルと世界経済全体のGDP(国内総生産)60兆ドルの10倍以上という天文学的スケールで動いているため、つまりはLIBOR金利をたとえばほんの0.01%だけちょろまかすだけでも、世界中の金融取引に与える影響は数兆円規模に及びます。これを恒常的に行っていたとすると、もう背筋が寒くなるなんてもんじゃない、空前絶後のスケールでの金融詐欺事件が暴かれたということになるわけです。

 バークレイズ銀行から発覚したこの不正操作ですが、LIBOR金利は提示参加銀行の平均値が採用されるため、バークレイズ1行だけで誘導するのは難しく、参加銀行がつるんで談合して操作していた可能性が高いのです。おそらくこれから他の名門大手銀行でも調査の結果同様の事象が次々と顕わになってくるでしょう。実は日本のメガバンクも参加しています。
 それでも最早これら銀行に賠償責任を負わせることは不可能でしょう。LIBOR金利が全世界あらゆる取引に使われているため、その搾取金額を特定することは難しく、また損害賠償するとなれば関わっていた銀行はみんな即刻破綻してしまうからです。

まさに大き過ぎて処分出来ない大事件として、歴史に記されることになる今回のLIBOR問題で、金融界の信頼は地に堕ちました。日本でも増資インサイダー事件が発覚するなど、業界の不祥事は後を絶ちません。コツコツと地道なモノづくりやサービスの開発で汗をかいて頑張っている他の産業界に対して、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」とばかり鉛筆なめなめ、ボタン操作ひとつで巨大な利益を貪ってきた金融業界は、これほどの倫理の退廃への落とし前をどうつけるべきでしょうか。
この際、経済活動の潤滑機能たる金融に立ち返らざるを得ないような、業界ヒエラルキーの抜本的解体と、デリバティブ取引に至る世界的規制改革が必然ではないでしょうか。


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